海に遊びに行って綺麗な貝殻を拾ってきたと思ったら実はヤドカリだった!なんて経験ありませんか?
我が家も急遽ヤドカリを飼うことになり、慌てて飼い方を調べましたので皆様にシェアします。
海で拾ってきたヤドカリはホンヤドカリ(水棲ヤドカリ)
ネットでいろいろ調べていると、ほとんどがオカ(丘)ヤドカリの飼い方を説明しているサイトばかり。
オカヤドカリは沖縄などに生息していて、現在は天然記念物に指定されている貴重なヤドカリさんですが、
潮だまりなどで取ってきたヤドカリは海に住むホンヤドカリ(水棲ヤドカリ)でまず間違いありません。
ヤドカリと言ってもホンヤドカリとオカヤドカリは飼い方が全く異なるので注意してください!
海で採ってきた、ヤドカリさんはおそらく以下のうちのどれかです。
- ホンヤドカリ(全体の8割くらいはたぶんこれ、とても賢い)
- イソヨコバサミ(手足が水玉、臆病、殻が身体よりも大きめ)
- ケアシホンヤドカリ(触覚が赤い、手足に毛がついている)
←ワカメを食べるホンヤドカリさん
ヤドカリはえら呼吸
海で拾ってきたヤドカリさんですが、えらで呼吸してます。
海水に溶けた酸素をえらで取り込んでいますので海水が必須になります。
食塩を溶かすだけではダメなので人工海水を用意しましょう(後で説明)
余談ですが、我が家に貝殻と思って拾われたヤドカリさんは取ってきた次の日の朝までヤドカリだと気づかれずに乾いたジップロックの中で生存しておりました…!
なので触っていなければ多少酸素がなくても大丈夫、ヤドカリの生存能力は非常に高いと思われます。
飼うために必要なもの
ヤドカリさんを買うと決めたらホームセンターに行って以下のものを購入しましょう。
- 水槽(ガラス製でもプラスチックでも)
- 人工海水の素
- 比重計(なくても最初はOK)
- フィルター
- サンゴ砂(なければ適当な底砂)
- ヤドカリのエサ(ザリガニのエサでOK)
- 引越用の貝殻
- 隠れ場所
水槽
ホンヤドカリはえら呼吸のため陸地は必要ありません。水は水槽いっぱいに入れてOKです。
浅めに水を入れて飼うこともできますが、その場合は水質が悪くなりやすいので頻繁に水替えをしなければなりません。
水が水槽いっぱいであれば、えさの残りや糞などで水が汚れても、水質が急激に悪化するということはありません。
水槽いっぱいに水を入れ、1週間に1回、3分の1程度の水を入れ替えれば良いでしょう。
横幅30㎝ほどの水槽で10匹くらい育てることができます。(少なめがおすすめ)
人工海水
海水には様々なミネラルが含まれますので人工海水の素を買ってきてちゃんと作りましょう。
水道水には塩素(カルキ)が含まれていますが、人工海水の素はカルキ抜き不要と書いてあるものが多く、
水を1日置いてカルキを抜くという作業が不要なのでとても便利です。
注意ポイント
淡水でも人工海水を作る際でもそうですが、浄水器を通した水を使用するのは止めましょう。
浄水器を通すと塩素が除去できますが、殺菌のために銀イオンを使用していることが多く、小さな生物にとってはその銀が有毒となってしまう場合があります(メダカ等も死にます)。
海が近く海水を汲んで来れるという方はそれでもOKです。
ただし天然の海水は汚れが多く水質が悪化しやすいのでフィルターは必須です。

比重計
塩分濃度を測ることのできるスケールです。
人工海水の作り方通りにきちんと測れば、濃度が大きくズレるということはないと思いますが、
夏場などは特に空気中に水分が飛んでいってしまうので濃度が変わってしまうことも。
水槽を用意してしばらくしてからでも良いので、購入しておくと安心です。
ちなみに水温によって比重は変わってくるので室温に戻してから測りましょう。
フィルターと空気ポンプ
水をきれいにするためにフィルターが必要です。厳密にいえばフィルターに住み着いてくれるバクテリアさんが糞やエサの残りなどを分解し水をきれいにしてくれます。
また、ヤドカリは海水に溶け込んだ酸素を取り込むので、空気ポンプなどで水面を揺らして酸素を水に溶け込ませる必要があります。
夏場は特に酸素が水に溶けにくいので空気ポンプは必須と言えます。
水が浅くて頻繁に水替えができるという方は不要な場合もありますが、
急激な水質の悪化を防ぐためにも水は多め、フィルターを付けることをおすすめします。
フィルターは汚れてきたら水槽の残り水で洗って、何度も使用することができます。


最初の水槽の立ち上げ時にはフィルターにバクテリアがついていないため 、バクテリア入りのフィルターを選ぶと立ち上げがスムーズになります。
底砂(サンゴ砂)
ヤドカリが移動しやすくするために底砂を用意しましょう。何でも良いですが、おすすめはサンゴ砂です。
主成分が炭酸カルシウムであるサンゴ砂は、水と反応してPHを弱アルカリ性に保つ働きがあります。
ヤドカリは丈夫なのでそこまでこだわる必要はありませんが他の底砂と値段は変わりませんので、あればサンゴ砂を購入しましょう。
砂の細かさはホンヤドカリの場合は特にこだわりません。3mm~1cm以下程度であればなんでも良いでしょう。
あまり細かいとフィルターが詰まりやすくなるので注意してください。
注意ポイント
陸に住むオカヤドカリの場合は細かい砂でないと脱皮に失敗して死んでしまうことがあるのですが、ホンヤドカリは細かい砂でなくてもOKです。
エサ
ホンヤドカリは海では魚の死骸や藻などを好んで食べています。
100均にある沈下性のあるザリガニのエサでも喜んで食べますが、自然なものがよければ塩抜きしたワカメやしらす、アサリ、煮干し、おきあみなどがおすすめです。
食べ残したものは水質を悪化させるのでスポイトなどを使って取り除きましょう。
ヤドカリはとっても小食です。1~2cm程度の大きさのヤドカリであれば1日に市販のエサ1粒で十分です。
エサのあげすぎは水を汚すので注意しましょう。
引越用の貝殻
ヤドカリは大きくなるとお引越しをしなければなりません。
拾ってきた海で適当な貝殻をたくさん集めておくのがベストですが、ない場合には専門店でネット注文するかフリマアプリでもたくさん売られています。
気分でお引越しすることもよくあるようで、たくさん貝殻を入れておけばお引越しの姿を観察することができるかもしれません。
お引越しの際にはヤドカリは貝殻をよく観察して中をのぞき込んだり、自分のハサミで貝の入り口の大きさを測ったり、貝殻の中を掃除したりととても可愛いです。
引越は一瞬ですので見れたらとてもラッキーですよ♪
海外製の可愛い貝殻もたくさん売られていますのでそれを選んでくれたらとっても可愛いですね♪
貝殻の購入の際は、ヤドカリの大きさと貝殻の殻口の大きさをよくチェックしましょう。
隠れ場所
ヤドカリはとっても怖がりなので隠れ場所を作ってあげると落ち着きます。
小さい植木鉢やかけら、石、フェイクの植物でも何でも良いので隠れ場所を用意してあげましょう。
そうすることでヤドカリ同士の喧嘩や共食いを減らすこともできます。
ヤドカリの基礎知識
ヤドカリは昼間も動きますが基本的には夜行性です。
昼間動かないからと言ってむやみに触らないようにしましょう。
ヤドカリの寿命は10年~15年ととても長いです。
飼いきれなくなって逃がす場合には必ず元の海に逃がしてあげてください。
同じ種類でも違う海に放すと、もともと住んでいるヤドカリと喧嘩して死んでしまうことがあるそうです。
ヤドカリは1月~3月が繁殖期です。繁殖期になるとオスはメスを他のオスから守るためにハサミで掴んで移動するそうです。(交尾前ガードというそうです)
ヤドカリの赤ちゃんは小さな小さな貝殻がないと生きていけません。
数㎜程度の貝殻をたくさん用意するのはとても難しいため家庭で繁殖に成功させることは簡単ではないでしょう。
おわりに
いかがでしたか?飼ってみると海で観察する以上の不思議な姿がたくさん垣間見れてとても面白いです。
ヤドカリの本を用意してお子さんと理解を深めるのも楽しいですね。